このコラムは、FunMake代表取締役・市位謙太が個人の視点から執筆しています。
「コンテンツは、外交である」——ある外交官の言葉
先日、Netflixのイベントに出席する機会がありました。

Netflixのイベントにて(左から・敬称略):
FunMake CEO 市位謙太/映画監督 マイケル・レーマン/大阪市長 横山英幸/
Netflix 副社長 アンドリュー・ユア/Netflix Director 杉原佳尭
冒頭、お世話になっているNetflixの杉原さんの挨拶に続いて登壇したのが、米国の外交官の方でした。その方が語っていたのは——Netflixがハリウッドのコンテンツを世界に届けることで、アメリカの文化・価値観・ライフスタイルが地球規模で浸透していく。それこそが「外交」そのものなのだ、というお話でした。
「コンテンツというのは、まさに外交をしているのです」
私はその言葉を聞きながら、以前から自分の中にあった思いを、あらためて確信しました。
同じように私たちも、ソーシャルメディアの力を使って、日本の文化・地域・ライフスタイルを世界へと発信していきたい——そう、日本の立場から「民間外交」を担っていきたいと考えています。
これは、この夜のイベントで急に思いついたことではありません。FunMakeを立ち上げた頃から、私の中に一貫してあった信念です。ただ、現職の外交官の口から「コンテンツは外交である」と語られたことで、自分の信じてきたことが世界的な文脈と一致していると再確認できた——そんな夜でした。
今日はその視点から、FunMakeが大切にしていることをお話しします。
世界が揺れている
ウクライナでの戦争が長期化し、中東でも緊張が続いています。主要国の経済・外交政策も大きく変化し、かつて「当たり前」だった国際的な移動・交流・ビジネスが、いま根本から問い直されています。
私たちの事業も、決してこの流れと無関係ではありません。
たとえば、旅行系のYouTuberやインフルエンサーが世界を旅して動画を撮る——かつては当然だったことが、渡航リスクや治安の悪化によって難しくなっているエリアが増えています。ビザの問題、為替の急変、予期しない情勢の変化。クリエイターが「行きたい場所に行けない」時代が、静かに広がっています。
そのような現実を目の前にして、私はむしろ確信しています。だからこそ、コンテンツの力が必要なのだ、と。
FunMakeが地方創生にこだわる、本当の理由
FunMakeは「地方創生系ソーシャルメディアマーケティング」を掲げています。しかし、私がこの言葉に込めた意味は、単に「地方の観光PRをする会社」ではありません。
コンテンツには、国境も時差もない
コンテンツには、国境も時差も関係ありません。
一人のクリエイターが日本のどこかで撮った動画が、リアルタイムで地球の裏側の視聴者に届き、その人を熱狂させることができる。YouTubeはそうしたパワーを持つメディアです。
Casey Neistat と Brandon Li——私がクリエイターの力を信じた原点
これは私自身が、身をもって体感してきたことです。
2012年、私は米国国務省のプログラムでアメリカを訪れる機会がありました。その時に出会ったのが、当時からニューヨークで独自の映像表現を発信していたフィルムメイカー/YouTuberのCasey Neistatさんです。彼の映像と姿勢に強く魅了され、それ以来ずっと、YouTubeの魅力・クリエイター個人の発信力・インフルエンサーマーケティングの可能性を信じ続けてきました。FunMakeを立ち上げた背景にも、あの時に感じた「これは国境を越えて、人の価値観を動かせる」という原体験が根にあります。
また、香港にルーツを持つノマド・フィルムメイカー Brandon Li氏は、世界を旅して映像を発信する一方で、フィルムメイキングの講座も展開しています。私自身、彼の講座から映像制作の基礎やジンバルワークを学んだ一人です。優れたクリエイターは、世界へ発信するだけでなく、次のクリエイターを育てる存在でもあります。
このように、クリエイティブのマーケットも、クリエイター同士の交流も、すでに国境を越えてワールドワイドに広がっています。一人のクリエイターの発信・学び・影響力は、もはや特定の国や地域に閉じたものではありません。
テレビや新聞が届かなかった場所に、個人のクリエイターが作ったコンテンツは届きます。
視聴者との「擬似的な人間関係」が、ファンを生む
特にエンゲージメントの高いYouTuberやチャンネルは、視聴者と擬似的な人間関係を構築します。毎週動画を見て、コメントをして、コミュニティで話し合う——その積み重ねが、視聴者にとって「友人のような存在」としてのクリエイターを生み出します。これは単なるコンテンツ消費ではなく、人と人のつながりに近い体験です。
そのパワーを使うことで、観光PRの次元を超えることができます。「日本に行ってみたい」という興味喚起にとどまらず、日本という国・地域・文化そのものの「ファン」を世界中に作ることができる。ファンになった人は、その国や地域を好意的に理解し、応援し、自発的に広めてくれます。
観光PRを超える「民間外交」としての役割
これが、私の考えるコンテンツを通じた民間レベルの国際交流——つまり民間外交です。政府や行政が行う外交とは別に、一人のクリエイターが作った動画が、国境を越えて人々の心を動かし、社会を少しずつ変えていく。SNSとYouTubeが存在する現代において、それは決して夢物語ではありません。
混沌の時代こそ、クリエイターの「民間外交」が要る
世界が混乱するとき、最初に失われるのは「相互理解」です。情報が遮断され、メディアが偏り、互いの文化や生活が見えなくなるとき、人々は恐怖と誤解の中で判断を迫られます。その隙間を埋められるのが、コンテンツだと思っています。
「世界情勢が悪化して、旅行YouTuberが旅行しにくくなっている」——こうした声も聞こえてきます。もちろん、リスクの高い地域に無理をして足を運ぶ必要はありません。クリエイター本人の安全が最優先です。
分断の時代に、橋を架けるのはコンテンツ
その上で、私はこう思うのです——混沌とした時代こそ、クリエイターの「民間外交」の力が最も必要とされる時代だ、と。
人々のあいだに不信・誤解・分断が広がるほど、政府間の関係がぎくしゃくするほど、一人のクリエイターが作る動画が、国境を越えて人と人をつなぐ役割を担います。「あの国の人たちも、普通に生きている」——そうした当たり前の感覚を届けるコンテンツの価値は、不安定な時代だからこそ、一層重みを増します。
今のリアルを切り取り、世界へ届ける——クリエイター固有の力
加えて、人間には困難を乗り越えると、その記憶を薄めてしまう性質があります。コロナ禍で私たちが経験した「当たり前が崩れる感覚」「街から人が消えた光景」「離れた家族と会えない寂しさ」——あれほど強烈だった日々も、数年経てば記憶のどこかに沈んでしまいます。
そして——今、目の前で起きているリアルな現実を映像として切り取り、世界に届くコンテンツへと転換できる。これこそが、クリエイターという存在の本質的な力です。他の仕事では記録できないことを記録し、他の職業では届けられない形で届ける——混沌とした時代だからこそ、その力の意味は大きくなります。
FunMakeは所属クリエイターと共に、この時代を捉えるコンテンツを世に送り出していきます。
クリエイターへ、そして共に未来を描く方へ
あなたが作る動画は、あなたが思っている以上に、遠くまで届いています。
日本のどこかの農村を撮った動画が、ブラジルの誰かの「日本に行きたい」という夢を育てているかもしれません。地方の祭りを映した映像が、フランスの研究者の「日本文化を学びたい」という動機になっているかもしれません。あなたが届ける映像は、世界のどこかで、誰かの人生の選択に静かに影響を与えている——それは決して大げさな話ではありません。
コンテンツで、世界を少しだけ良くしていく。それがFunMakeの、変わらない信念です。
クリエイターの方へ — このビジョンに共感していただけるなら、ぜひ一度、お話ししましょう。FunMakeは日々、所属クリエイターと共に世界へ発信するコンテンツを手がけています。ご相談はこちら。
企業・自治体の皆様へ — 日本の魅力を世界に届けるコンテンツ戦略を、FunMakeと一緒に考えませんか。YouTuberタイアップ・映像制作・地方創生・チャンネル運営代行のご相談を承ります。
読者の皆様へ — ご意見・ご感想はお問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。



