YouTuberタイアップ(インフルエンサーの起用)に興味はあるものの、「何から手をつければいいのか」「どんな順番で進むのか」が分からず、最初の一歩で止まってしまう——企業のマーケティング担当者からよくいただくご相談です。
タイアップは、クリエイターに動画で紹介してもらうだけの単純な施策に見えて、実際には目的の整理、クリエイターの選定、企画づくり、契約、撮影、公開、そして公開後の活用まで、いくつもの工程が連なっています。
この記事では、初めて企業案件としてYouTuberを起用する方に向けて、YouTuberタイアップの進め方を企画から効果検証まで6つのステップで整理します。発注前の全体像の把握に、そのままチェックリストとしてお使いください。
YouTuberタイアップとは|広告・運用代行との違い
YouTuberタイアップとは、企業がクリエイターに自社の商品・サービスを動画内で紹介してもらう手法です。クリエイターが普段から信頼を積み上げてきた視聴者に向けて、その人自身の言葉と体験で伝わるのが最大の特徴です。
似た言葉に「YouTube広告」「チャンネル運用代行」がありますが、役割は異なります。広告はプラットフォームの配信枠を買って届ける手法、運用代行は自社チャンネルを継続的に育てる手法です。タイアップは、すでにファンを抱えるクリエイターの発信力を借りる点で、これらとは性質が違います。目的に応じた使い分けは企業のYouTube活用ガイドで整理しています。
ここからは、タイアップを実際に進める流れを順に見ていきます。
タイアップの進め方|全体像(6ステップ)
YouTuberタイアップは、おおまかに次の6ステップで進みます。
- 目的とゴールイメージを共有する — 何のために、誰に届けたいのかを言語化する
- クリエイターを選ぶ(キャスティング) — 商材と視聴者層が合うクリエイターを選定する
- 企画・構成・台本をつくる — 広告が浮かない、自然な見せ方を設計する
- 交渉・契約・スケジュールを決める — 二次利用やPR表記など条件を取り決める
- 撮影・編集・公開する — 制作を進め、確認のうえ公開する
- 公開後に検証し、次へつなげる — 反応を見て、動画資産を活用する
それぞれを詳しく見ていきます。
STEP1 目的とゴールイメージを共有する
最初に決めるのは「何のためにタイアップをするのか」です。新商品の認知を広げたいのか、ブランドの世界観を伝えたいのか、特定の店舗・サービスへの来店や予約を促したいのか。目的が変われば、選ぶクリエイターも企画の見せ方も変わります。
ここで一つ、現場の実感としてお伝えしたいことがあります。タイアップを「再生回数◯万回」のような数字だけのゴールに固定してしまうのは、あまりおすすめしません。動画の再生回数は、季節・トレンド・アルゴリズムの変化など、企業にもクリエイターにもコントロールしきれない要素で大きく動くからです。一般に、いわゆる企業案件の動画は通常動画より再生が伸びにくい傾向もあります。
大切なのは、「誰に、どんな印象を残したいか」というゴールイメージを企業とクリエイターで共有しておくことです。届けたい相手と伝えたい価値が一致していれば、再生回数の多寡に一喜一憂せずに成果を判断できます。FunMakeでも、最初のヒアリングでは数字のノルマではなく、商材・ターゲット・伝えたい体験の整理から始めます。
STEP2 クリエイターを選ぶ(キャスティング)
タイアップの成否を最も左右するのが、クリエイター選び(キャスティング)です。ここでありがちなのが、登録者数の多さだけで判断してしまうことです。登録者が多くても、その視聴者が自社のターゲットと重なっていなければ、商材は届きません。
選定で見るべきは、おもに次の点です。
- 視聴者層との一致 — クリエイターの視聴者の年代・性別・関心ジャンルが、自社のターゲットと重なっているか
- ジャンルとの相性 — 普段の動画の文脈に、その商材が自然に溶け込むか
- 過去のタイアップの見られ方 — 通常動画と比べて企業案件の動画が極端に避けられていないか、コメント欄の空気はどうか
- ブランドとの安全性 — 発言や活動の傾向が、自社ブランドと並んでも問題ないか
「登録者が多い=効果が高い」ではなく、自社のターゲットと重なる視聴者を持っているかが判断基準です。FunMakeではクリエイターマネジメントで所属クリエイターと日常的に向き合っているため、数字に表れにくい視聴者の質やコメント欄の雰囲気まで踏まえて提案しています。自社に合うクリエイターが分からない段階でのご相談も歓迎です。
STEP3 企画・構成・台本をつくる
クリエイターが決まったら、企画と構成を固めます。ここでの鍵は、「広告らしさ」をいかに消すかです。商品名を読み上げるだけの動画は、視聴者にすぐ見抜かれ、途中で離脱されてしまいます。
おすすめは、クリエイターが実際に使う・食べる・乗る・泊まる・歩くといった体験を軸に据えることです。その人らしいリアクションや視点を通すことで、視聴者の中に具体的な利用イメージが残ります。表現はクリエイターの普段の言葉に委ねたほうが、自然で伝わる動画になります。
ただし、ここで気をつけたいのが、「自然に任せる」ことと「クリエイターに丸投げする」ことは違う、という点です。動画の表現はクリエイターに委ねつつ、伝えるべき情報そのものは発注者側がしっかりと渡すことが、良いタイアップの分かれ目になります。
商品やサービスのことを最もよく知っているのは、ほかでもないメーカー・発注者であるあなたです。たとえば次のような情報は、発注者側が言葉にしなければクリエイターには伝わりません。
- メーカーだからこそ分かる開発の背景やこだわり — なぜこの商品を作ったのか、どこに技術や工夫が詰まっているのか
- 発注者側だから分かる使いどころ — どんな場面・どんな人に向くのか、競合と比べた強み、誤解されやすい点
- この企画で最も伝えたいこと(PRの軸) — 数ある特長のうち、今回いちばん視聴者に届けたいポイントはどれか
- 触れてほしくないこと・表現上の注意 — NG表現、比較を避けたい競合、保証や効果の言い回しの線引き
これらを企画段階で丁寧に共有しておくと、クリエイターは自分の言葉に落とし込みながらも、商品の本当の価値を外さずに伝えられます。逆に、ここを曖昧なまま任せてしまうと、表現は魅力的でも肝心の訴求点がぼやけた動画になりがちです。
FunMakeでは、この情報の引き出しを担当者の経験だけに頼らないよう、ヒアリングシートを用いて発注者側のお話を体系的にお伺いします。商品の背景、ターゲット、いちばん伝えたいこと、避けたい表現などを整理したうえで企画に落とし込むため、「伝えたいことが伝わらないまま公開されてしまった」という事態を防げます。
なお、この企画段階で後述のPR表記や薬機法・景品表示法のチェックも織り込んでおくと、公開直前の手戻りを防げます。
STEP4 交渉・契約・スケジュールを決める
企画が固まったら、条件を取り決めて契約します。費用は商材・起用クリエイター・利用範囲によって一件ずつ変わるため、個別のお見積もりでご提示します。契約前に企業側で必ず詰めておきたいのが、次の2点です。
ひとつは二次利用の範囲です。完成した動画をYouTube上の掲載だけに使うのか、自社サイト・LP・SNS広告・店頭サイネージなどでも使うのか。使う場合はその期間(半年・1年・無期限など)も含めて、契約書に明記しておきます。「公開後に自社サイトにも載せたい」と後から要望すると、追加の調整が必要になります。最初に使いたい範囲を伝えておくほど、スムーズです。
もうひとつはPR表記とスケジュールです。撮影日・編集確認・公開日の段取りを共有し、確認のタイミングを決めておきます。二次利用やキャスティングの詳しい確認項目は失敗しないための5つのチェックリストも併せてご覧ください。
STEP5 撮影・編集・公開する
撮影と編集を進め、企業側の確認を経て公開します。確認では、伝えたいポイントが意図通りに入っているか、誤った情報がないか、PR表記が適切かをチェックします。
ここで注意したいのが、いわゆるステマ規制法への対応です。2023年10月1日から、広告であることを隠した表示は景品表示法違反となりました(消費者庁の公式ページ参照)。動画タイトルや冒頭、概要欄に「提供」「PR」「タイアップ」などの表記を入れ、視聴者に広告だと分かる状態にしておく必要があります。
STEP6 公開後に検証し、次へつなげる
公開して終わり、にしないことがタイアップを活かす最大のコツです。再生回数やコメント、SNSでの反応を見ながら、視聴者が次の行動に移れる導線が整っているかを確認します。
前述のとおり、再生回数は外部要因で動くため、その数字だけで成否を判断するのは適切ではありません。むしろ見るべきは、コメントの内容や雰囲気、指名検索の動き、公式サイトや予約ページへの流入、店頭での反応など、視聴者の関心がどう動いたかという質的な変化です。動画を見た人が後日「あの商品は何だったか」と検索したとき、商品ページや予約ページにたどり着けるかどうかで、生まれた興味が行動につながるかが変わります。
そして、完成した動画は一度きりで終わらせず、二次利用の範囲内で自社サイトやSNS、広告クリエイティブへ展開すると、一本の制作物を長く活かせます。
つまずきやすいポイント
進め方が分かっても、実際には次のような点でつまずきがちです。
- 企画を企業側で固めすぎる — 広告が浮いて、視聴者に離脱される
- 二次利用を決めずに契約する — 後から使いたくなって調整が発生する
- 公開がゴールになっている — 検索の受け皿がなく、興味が行動につながらない
これらの具体的な回避策は企業がYouTuberタイアップで失敗しないための5つのチェックリストにまとめています。
FunMakeのタイアップ支援
FunMakeは、3,000以上のブランド支援で培ったマーケティング力をもとに、YouTuberタイアップを企画から映像制作・配信まで一気通貫で支援しています。クリエイターマネジメント事業を運営する事務所だからこそ、キャスティングでは数字に表れにくい視聴者の質まで踏まえた提案ができます。
- 目的・ターゲットの整理から伴走
- 商材に合うクリエイターのキャスティング
- 企画・構成・台本の制作
- ステマ規制法・薬機法・景品表示法のチェック
- 撮影・編集・納品、公開後の活用提案
詳しくはYouTuberタイアップ・インフルエンサーマーケティングのページをご覧ください。
よくある質問
Q. どのくらいの期間で進みますか? 商材や企画、起用するクリエイターのスケジュールによりますが、ヒアリングからクリエイター選定、企画、撮影、公開まで、一定の準備期間をいただきます。早めにご相談いただくほど、最適なクリエイターを押さえやすくなります。
Q. 費用はどのくらいかかりますか? 費用は商材・起用するクリエイター・二次利用の範囲などによって一件ずつ変わります。ご要望をうかがったうえで、個別にお見積もりをご提示します。まずはお問い合わせからご相談ください。
Q. どのクリエイターが合うか分からなくても相談できますか? もちろんです。「自社の商材にどんなクリエイターが合うか」「そもそもタイアップで何ができるか」といった初期段階のご相談から承っています。
Q. 完成した動画を広告や自社サイトでも使えますか? 二次利用の範囲を契約時に取り決めておけば可能です。使いたい範囲と期間を最初にお伝えいただくと、その前提で進められます。
まとめ
YouTuberタイアップは、次の6ステップで進めると全体像がつかめます。
再生回数という一つの数字に振り回されず、目的に沿って各ステップを丁寧に設計すれば、タイアップは認知拡大からブランドづくりまで幅広く効く施策になります。
ご相談はこちら
まだ企画が固まっていない段階でも構いません。FunMakeでは、目的整理・キャスティング・企画・契約・PR表記・公開後の活用まで一括で整理します。YouTuberタイアップ・インフルエンサーマーケティングをご覧いただき、具体的なご相談はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
参考・出典
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」(景品表示法第5条第3号・令和5年内閣府告示第19号)
- 関連記事:企業がYouTuberタイアップで失敗しないための5つのチェックリスト
- 関連記事:企業のYouTube活用ガイド|地元クリエイター起用・運用代行・映像制作の使い分けと進め方
- 関連記事:「ユーチューバーのためのステマ規制法」セミナー
- 関連サービス:YouTuberタイアップ・インフルエンサーマーケティング/クリエイターマネジメント




